大地が育む極上の味わい 谷嶋稔さんの自然薯 白井市今月中旬から出荷開始

ふれあい毎日

白井市で梨と自然薯を栽培する谷嶋稔さん(72)の畑では、6月に植え付けた約4000本の自然薯が地中深く成長を続けている。白井市の農家は「梨しかない」状況からの脱却を目指し、2004年ころから、自然薯栽培に力を入れている。谷嶋さんはその先駆者の一人。

「自然薯は正直者。手をかけた分、必ず応えてくれる」と語る谷嶋さん。北茨城系の原種から採取した種芋を、地中パイプと有機堆肥を組み合わせた栽培法で育てている。

基本的に雨水だけで育てる天水農法だが、夏場の水不足は大敵。「水が足りないと、成長が止まるだけでなく味も落ちてしまう」。約20㌃ヘクタールの畑を管理する作業は重労働だ。掘り出した自然薯は一本一本丁寧に検品され、出荷出來るのは50㌫~60㌫。傷や曲がりのあるものは容赦なく選別除外される。1本2000円から2500円で販売されるが、年末の贈答需要が高く、毎年決まった顧客からの予約が入るという。最近では東京神田エリアの飲食店からの問い合わせも増えているという。

白井市では梨と並ぶ特産物として育てようという機運の中、現在9軒ほどが自然薯栽培に取り組んでいる。谷嶋さんは「白井の新しい顔として、この自然薯を次の世代に繋いでいきたい」と語る。

10月には自然薯の蔓に種であるかわいい「むかご」が実る。素揚げやむかごご飯などで秋の味わいが楽しめる。11月中旬からは、いよいよ親である自然薯の出荷が始まる。すりおろせば箸が突っ立つほどの強い粘りがあり、口に含めば濃厚な旨味と素朴で自然な甘みが広がる。白井の豊かな大地が育んだ、本物の味わいだ。谷嶋さんの自然薯で滋養をつけ、今年の締めくくりの食卓を特別なものにしてみてはいかがだろうか。
▽問090・8778・7456(谷嶋さん)。

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