「伝統の古典菊」国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑11月5日(水)~30日(日) 佐倉市

ふれあい毎日

佐倉市の歴博「くらしの植物苑」では、今日から「伝統の古典菊」展が始まる。同苑で収集し、栽培、育種した古典菊(嵯峨菊・伊勢菊(松阪菊を含む)・肥後菊・江戸菊・丁子菊)を約110品種と、江戸菊や肥後菊と同じく近世中頃から作られている奥州菊、また、同苑で種から育てた実生の新花約50品種(試作中の約30品種含む)を苑内の東屋周辺、ハウス、よしず展示場に展示する。
●出展品数:計約160品種 *うち、歴博オリジナル約50品種(試作中の約30品種含む)。出展鉢数約500鉢。

「極楽殿」(奥州菊)

菊は日本を代表する園芸植物のひとつ。日本在来の植物ではないが、平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していたことから、遅くとも律令期には、他の文物とともに中国からもたらされていたと考えられる。平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が作出された。

筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊(さがぎく)」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊(いせぎく)」は伊勢・松阪地方で盛んに栽培された。そして、菊は支配者層の中で宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていった。

それが、近世中頃以降、大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われている。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊(ひごぎく)」と、咲き始めてから花弁が変化していく「江戸菊(えどぎく)」。これらに花の中心が盛り上がって咲く「丁子菊(ちょうじぎく)」を加えた伝統的な中輪種は「古典菊」と呼ばれている。

くらしの植物苑では、このような「古典菊」を2000年から収集、展示してきた。今回は、各地方で発展した独特な特徴を持つ古典菊を約110品種と、歴博で実生栽培した嵯峨菊、肥後菊などオリジナルの新花約50品種(試作中の約30品種を含む)を展示。

▽入苑料:個人100円。高校生以下無料。
▽開苑時間:9時30分~16時30 分(入苑は16時まで)。
▽期間中の休苑日:11月10日(月)・17日(月)・25日(火)。
▼主催
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

▽佐倉市城内町 117。☏050・5541・8600(ハローダイヤル)

「佐倉の淑女」(肥後菊)くらしの植物苑作出
「天空の花火」(肥後菊)くらしの植物苑作出

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