エネルギーをゆっくり貯めて
ここ数年、入園者の増加傾向は続いています。
しかし、それに伴い最近、入園間もない子のゆうび不登校(不登園)が増えてきました。
親子で見学後、体験入園を予約し、3回ほどは頑張って体験入園に通います。その後、本人に入園したい意志があるか、ゆうびのスタッフとしても入園してもらって適切な支援が本当にできるか、双方考えた末の入園となります。そうして晴れて入園となった子が、ぱたりと来ない。もしくは数か月で来なくなる。そういった子が増えました。
考えられる主な原因は二つ。
まず一つに、ゆうび自体の力不足を感じます。小中学生が増え、同年代の集団の力が強まっています。学校で疲れ切った子が入っていくにはなかなかにシビアな環境です。異年齢のよさ、ゆるやかな人間関係を謳っても、スマホやタブレットで結束した子どもたちの集団性を崩すのはなかなか難しい。私たちスタッフのスキルアップが必要です。他にもゆうびの自由さなど、もともとの特徴がその子に合わなかったということもあります。万人に合うフリースクールはないですが、お役に立てなかった口惜しさがあります。
もう一つには、入園した子ども自身が、まだ外に出るためのエネルギーを十分に貯め切れていなかったという可能性です。フリースクールや教育支援センターなど不登校の受け皿がメジャー化し、保護者も早い段階でシフトチェンジするようになりました。そのこと自体は悪いことではありませんが、当の本人が付いてこられているかが重要です。「学校の代わりにフリースクールには行かないと」という気持ちでは、やはり早々に息切れしてしまいます。学校という巨大な存在から勇気を出して「行きたくない」とやっと解放されたのに、まだ傷も癒えていないうちに新しい場所に連れ出されてしまう。
「人と関わってほしい」という保護者の気持ちは痛いほどよくわかります。保護者の就労の問題もあり、悠長な時間をかけていられないという事情もあるでしょう。でも何をするにしても、子どもの心の安定の上にしか積み上がらないことは忘れてはいけません。
何事もタイパ(時間対効果)が重視され、結果を早急に出さねばならない時代。子どもの育ちは早い必要はありません。むしろゆっくりがいいです。安心できる家で自分の好きなことをし、無駄とも思える時間をのんびり過ごす。家族以外と関わりがなくても家の中で笑顔が出ていれば十分です。そのなかで子どもは自分や世の中をじっくり見つめる。そんな時間をどの子も十分に持てることを祈ります。年末の折、ゆうびに来ていない子達を想いながら。
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