旅スケッチ 写実絵画専門美術館「ホキ美術館」で大人時間を楽しむ (千葉市)

作家が想いを込めた数々の風景画から、写実の魅力を感じとる

「ホキ美術館」は写実絵画専門美術館として、2010年11月3日に開館した。そのコレクションは創設者の保木将夫氏が収集した写実絵画の力作500点からなっている。冬晴れの日、以前から気になっていた同館を訪ねることにした。

 JR土気(とけ)駅を下車。南口の天井から光を受けて輝くステンドグラスが美しい。バス停で、目的地「ホキ美術館」の最寄り停留所「あすみが丘東4丁目」を確認。

 美術館に到着。建物の正方形の大きなガラス窓に枯れ木が映り込んでいるのが目に留まり、しばし歩みを止める。近くに「昭和の森」があるので入館前に散歩だ。

枝に残る多数の柿や錦の絨毯のように敷き詰められた落ち葉が実に美しい。

美術館へ戻り、一階で開催中の「画布(キャンバス)に描くまなざし ホキ美術館風景画展」を鑑賞。

 原雅章「雲の研究」には、ゆっくりと流れる大きな雲が描かれ、作家の感動が伝わって来た。藤原秀一「デルフト東門」を見ると、視線は水面に揺らぐ二つの尖塔から実物の塔へと動く。「デルフトの風景」を描いたフェルメールをふと思った。

 森本草介「みちのくの早春」は眩しく輝く雪の奥にある、静謐な世界へと見る者を誘い込む。作家の母の故郷である岩手の地を描いたものだという。小尾修「咆哮」は恐ろしさと美しさの両局面を描いた作家の視点に興味を持った。

 「なぜ作家はその風景に心を動かされたのか。一枚の完成に数か月を費やす写実絵画としてその景色を残そうと思ったのか・・・。作家が想いを込めた数々の風景画からぜひ写実の魅力を感じとってください」と広報担当の後藤慧(けい)さんは話す。

 地下一階のギャラリー2とギャラリー3では人物や静物などの様々なジャンルの写実画が展示されている。絵画を前に目を凝らすと、心は作品の細部へと入り込み、絵画の世界へと吸い込まれる。緩やかにカーブを描く展示スペースも心地よく、同館の美意識の高さを感じさせる。

 地下2階へと階段を降りると、ギャラリー7からギャラリー9を結ぶ通路のガラス壁にホキ美術館の建設に関わった方々の名前が記されている。これは館長の意向によるもの。多くの人の手が関わって初めて美術館は成立しているのだ。ギャラリー8ではホキ美術館が13人の作家に、「私の代表作」というテーマで制作を依頼した100号以上の大作を展示している。作品の大きさもさることながら、作家が作品に込めた清らかな魂に感動する。

美術館を辞する時、後藤さんが「ツンツン立った鉄棒は柵の機能を果たすもの、美術館らしくオブジェにも見えるように考えられている。傾いた角度は昭和の森の杉並木とリンクする形で計算されたものです」と説明してくれた。静かな大人の時間を楽しむには、おすすめの美術館だ。

*館内の写真は特別な許可を得て撮影しています。

■「画布(キャンバス)に描くまなざし―ホキ美術館風景画展―」。

▽会期他:開催中~2026年5月13日(水)。10時~17時30分(最終入館時間17時)。

▽休館日:火曜。5月5日は開館、5月7日は振替休館。

▼「ホキ美術館」千葉市緑区あすみが丘東3-15。

▽観覧料はホームページを参照。

ホキ美術館 HOKI MUSEUM
ホキ美術館は日本初の写実絵画専門美術館で...

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