遠い山なみの光 11月1日㈯~14日㈮ 

 うだるような暑さの夏も過ぎ去り、ようやく訪れた読書の秋、芸術の秋――ということで今回は、併せて原作小説を読めば、味わいもより一層増すこと間違いなしの映画をご紹介します。


 『遠い山なみの光』は、2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの同名小説が原作です。同作はカズオ・イシグロの初長編で、戦後間もない1950年代の長崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する「記憶」をめぐる物語となっています。イギリス人である作者ですが、幼少期を長崎で過ごした経験をもちます。そんな彼にとってはまさに遠い記憶である長崎の情景や人びとは、小説の中でどこか独特な雰囲気をまとって描かれます。


 本作の監督を務めるのは、『ある男』で高い評価を受けた石川慶。彼のもとに主演の広瀬すずほか、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和ら豪華キャストが揃いました。小説世界の映像化に果敢に挑んだ本作ですが、特筆すべきは物語の結末です。映像ならではの大胆な脚色が施されており、原作ではどのように描かれているのだろうと気になるはず。読めばきっと、なるほど映画ではそう解釈したのかと新たな発見が待っていることでしょう。


キネマ旬報シアター 長谷部)

キネマ旬報シアター閉館の危機!クラウドファンディング実施中

 前身となる映画館の開館(1992年)以来使用されてきた空調設備や配管など、建物の基幹部分の老朽化に加え、デジタル映写機の入れ替え時期とも重なり、高額な費用がかかる運びとなりました。そこでクラウドファンディングを実施し、皆様のご協力をいただきたく思っております。クラウドファンディングに際しましては、心をこめた返礼品も作成して参ります。また、館内には募金箱も設置しております。


 柏駅前唯一の映画館存続のため、皆様のご支援ご協力どうぞよろしくお願いいたします!

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