おすすめシネマ『箱の中の羊』

8月1日(土)~14日(金)

 『怪物』(2023)、『万引き家族』(2018)の是枝裕和監督がメガホンを取り、亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語『箱の中の羊』をご紹介します。

 夫婦を演じたのは、劇映画は『海街diary』(2015)以来の是枝組参加となる綾瀬はるかとお笑いコンビ「千鳥」の大悟を迎えた本作。魅力的なキャスティングに公開前から話題になりました。

 AIが、今よりももっと生活の一部になっている“少し先の未来”のお話。2年前に7歳の息子・翔(桒木里夢)を亡くした建築家の甲本音々(綾瀬はるか)と工務店2代目社長の健介(大悟)のもとに、息子の姿をした最新型ヒューマノイド(桒木里夢)が無償レンタルされることから物語が動き出します。

 本作にも重要なシンボルとして登場する『星の王子さま』。唯一無二だと思っていたバラの花が地球に何千本もあることにショックを受けた王子さまが、キツネと出会い、心を通わせ成長していくストーリーですが、キツネとのお別れの日に「一番大切なものは、目に見えないんだよ」と王子さまに言葉を残します。家族もきっとそうだと思います。遺伝子の繋がりがない二人が家という“箱”の中で一緒に暮らし、同じ時間を過ごすこと。「夫婦」という家族のカタチは歪なものなのかもしれません。それでも、「相手のために費やした時間」そのものが大切で、共にいる。

 目の前にいるヒューマノイドの息子は、自分の息子なのか。それとも似ているだけで、全く別の存在なのか。親離れ、子離れの先にある夫婦がたどり着く答えとは。

キネマ旬報シアター 金崎

この記事を書いたライター

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