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放課後の教室を巡る

学校の先生にも「日直」があることをご存知でしょうか。基本的には児童、生徒のみなさんと同じで、その日に学校で起こったことを日誌にまとめたり、放課後に学校全体を見回って戸締まりや消灯が徹底されているかなどをチェックしたりしています。
さて、この連載の第2回で「シンプルな学校の姿をありのままに。放課後の教室を見つめる黒板消しのような視点が面白いと思い、連載のタイトルを決めました」と記しました。今回は放課後の「学校」を見つめる「日直」の視点でお届けしたいと思います。
「最終下校時刻まであと30分となりました。まだ活動している生徒は、下校に向けて準備をして下さい」教員日直が放送で下校準備を促します。中には10分前位から下校の音楽が流れる学校もあります。いずれにせよ、教員は校内の見回りスタートです。
部活終わりの生徒が教室で談笑していれば「汗が冷える前に着替えて、体調崩さないように」とか「週末の試合、頑張れよ!」などと声を掛けます。「先生~暑くて死んじゃう」「マジ優勝します。応援に来てくれますか」などと返事をする生徒に、「分かった分かった」と答えながら教室の整理整頓や戸締まりを念押しします。
自主勉強をしている生徒なら「切りが良いところで構わないけれど、下校時刻を意識してね」といった具合に。
清掃当番と日直によって一度は整えられた教室も、放課後を経て少し乱れが出ることもあり、それらをそっと整えながら一日を閉じていきます。

黒板も「消した」状態と「整えた」状態には差が出ます。時には職人さんレベルに黒板整備の達人が整えた黒板に出合うこともあり、つい手のひらで表面をなでてしまいます。「明日の朝こんな黒板に迎えられるクラスの子は幸せだな」と。
教室は最も身近な社会。公共の場所、仲間と一緒に過ごす場所は、次に使う誰かのために来たときよりも美しく。日々の営みの大切さを思う時間です。
■K太せんせい
現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。
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