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書の力 第五十六回 2025年9月号

呉昌碩(ごしょうせき)(1844-1927)臨石鼓文(りんせっこぶん) 1920年制作
130.9×38.6㎝ 紙本墨書 1幅
清国最後の文人とも評される呉昌碩は、篆書(てんしょ)の古典である石鼓文(せっこぶん)を深く学び、自らの書の糧としました。彼は生涯石鼓文を臨書(りんしょ)(お手本を見ながら書くこと)していますが、字形も制作年代によって変化しています。
70代で書かれたこの作は、字形を縦長にとり、また偏(へん)と旁(つくり)をずらして本来均整であった篆書に動きを持たせるなど創意が含まれた臨書となっています。
上海芸術界の重鎮として日下部鳴鶴(くさかべめいかく)ら当時の日本を代表する文人とも交流し、詩書画篆刻といった様々な分野で多くの影響を与えました。彼自身来日はかないませんでしたが、当時から日本でも広く愛好される作家の一人です。彼の書の持つ魅力が国境や言語の違いを乗り越えたのでしょう。
この作品は8月23日から開催している「赤井清美の仕事と明清の書」展で出品中です。また、石鼓のレプリカは常設展示しています。(成田山書道美術館 学芸員 山﨑亮)
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