しあわせレシピ100回記念対談-発酵文化を守り育て、次世代へ
東葛まいにちで好評連載中の「大瀬由生子のしあわせレシピ」が、2025年9月で100回を迎えたことを記念して、暑さが残る9月某日、野田市中野台にあるキノエネ醤油株式会社本社にて大瀬先生とキノエネ醤油株式会社山下雄三郎常務取締役の対談が実現しました。
大瀬先生
「私は先人たちの暮らしの知恵である“発酵”を、現代の暮らしに合った形で伝えています。発酵は単なる調理法ではなく、腸内環境を整え、免疫力を高めたり、精神の安定や集中力にも関わる健康の基礎です。日本人には欠かせない大切な文化でもあります。その素晴らしい発酵文化を子どもたちに伝承することも、私のライフワークです」
山下常務
「当社のタレを使った連載のしあわせレシピも、和洋中さまざまなメニューをご紹介いただきありがとうございます」
大瀬先生
「発酵は、先人たちが土地の気候や特産物に合わせて工夫し、暮らしを守る知恵として生まれました。例えば寒い地域では保存性を高める漬物が発展しました。秋田県のいぶりがっこもそのひとつですね。海に面した地域では魚醤や塩漬けが根づき、石川県のいしるや秋田のはたはたのしょっつるなどがあります。温暖な地域では、鹿児島の黒酢や奄美大島のみき(米とさつまいも、砂糖を発酵させて作られる伝統的な飲み物)のように、発酵飲料も発達しています。土地ごとの発酵文化は本当に豊かで、多様性にあふれていますね」
山下常務
「本当にそうですね。日本は四季があり湿度も高いので、自然と発酵文化が発展しました。微生物とうまく付き合いながら食を守ってきた先人の叡智の賜物です」
醤油の歴史とキノエネ醤油の歩み
大瀬先生
「その中で、醤油は日本人の食卓に欠かせない調味料として発展しました。キノエネさんも長い歴史がありますね」
山下常務
「はい。江戸時代創業、190年以上になります。地域に根ざしながら、時代ごとのニーズに応じつつも“本物の醤油”を大切にし、地元の方々に愛されてきました」
大瀬先生
「地域とともに歩んできた醤油屋さんですね。でも残念なのは、和食の礎である味噌や醤油の材料や作り方を知らない日本人も多いことです」
JAS規格と白しょうゆの魅力
大瀬先生
「醤油にはJAS規格があり、5種類に分類されますね。魚醤は醤油には含まれないので、醤油と呼べないんですよね」
山下常務
「そうです。醤油は大豆と小麦で作られるものだけ。だから魚を材料とする魚醤は醤油ではないんです。そして規格には、小麦と大豆の配合によって、濃口・淡口・再仕込・溜・白しょうゆと分類されます。家庭でよく使われるのは濃口ですね。」
大瀬先生
「キノエネさんは濃口も作っていますが、白しょうゆは出荷量日本一ですよね。」
山下常務
「はい。白しょうゆは料理の色を活かす淡い色合いが特徴です。食材の個性をつぶさず、風味を底上げしてくれるオンリーワンの存在なんです。卵料理や炊き込みごはんなど、色を変えずに旨味を加えたいときに最適ですし、スイーツにもおすすめです。シュークリームの皮に白しょうゆを練りこんだ商品も好評でした」
大瀬先生
「卵焼きが黒かったら美味しそうに見えませんよね。香り、うまみ、塩味もちゃんとあって色もきれいに出るのが白しょうゆの特徴。香りがふくよかで優しく、塩味もしっかりしているので、和食だけでなく洋食や中華にも活用できるので、海外の人にももっと知ってもらいたいですよね。子ども向けの白ぽん酢作り講座では、『料理を明るくする魔法の調味料』と伝えています」
発酵×未来への展望
大瀬先生
「発酵は未来へつなげたい文化です。白しょうゆの魅力を広めることは、日本人が自分たちの食文化に改めて目を向けるきっかけになると思います」
山下常務
「まずは家庭で気軽に使えるレシピや提案を広めたいですね。学校や地域での食育の場でも白しょうゆを伝えていきたいです」
大瀬先生
「私も一緒に、子どもたちや家庭に白しょうゆの魅力を届け、発酵文化を次世代につないでいきたいです」
山下常務
「はい、ぜひご一緒に。発酵文化を守り育てる仲間として力を合わせていきましょう!」
大瀬先生
「これからの白しょうゆプロジェクト、楽しみにしています!東葛まいにちさんもご支援よろしくお願いいたします(^^♪」
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