全校生徒の半数が駅伝部 -野田市立関宿中学校

東葛駅伝2025 東葛駅伝

 東葛駅伝は戦後間もない1948年(昭和23年)に初めて開催された。その記念すべき第1回大会から参加しているのが野田市立関宿中学校。チーバくんの鼻の先、利根川と江戸川に挟まれた土地に位置する総生徒数56人の小規模校だ。

 関宿中では入学時に駅伝部への加入案内が配布され、男子はほぼ全員が駅伝部に入部(兼部)する。今年の駅伝部は28人(男子23人、女子5人)、全生徒の半数が駅伝部に所属している。

 昨年、東葛駅伝を走った生徒に話を聞いた。


藤久 龍晴さん(部長・3年・野球部)

 東葛駅伝は2年生の時も走りました。走っている時は結構きついけど、走り終わった後、ナイスランと声掛けされると嬉しい。駅伝を通して、勉強も頑張れることがあると感じました。

横内 翔さん(3年・野球部)

 去年は1区を走りました。3年生をちゃんと盛り立てよう、タスキを繋げようというプレッシャーがすごくありました。1区は集団でスタートし、途中から道も狭くなり、走りが難しいです。今年も出場できたらしっかりと自分の走りをして、自己ベストを出せたらと思います。

 

井草 岳さん(3年・野球部)

 昨年は2区を走りました。緊張していたけれど、走れて気持ちよかったです。野田市内の他の駅伝大会(中学校駅伝大会、葛北新人、葛北駅伝)よりも、東葛駅伝は緊張します。沿道に人も多く、同じ周回コースを回るのでなく、 選手がそれぞれの区間に配置されて、そこでのタスキを待つ時間というのも特別です。今年は他校と張り合えるぐらいの走りがしたいです。

第76回東葛駅伝、2区を走る井草岳さん

床井 悠真さん(3年・卓球部)

 昨年5区を初めて走って、想像以上にきつかったです。基本的に練習はグラウンドで行うんですが、夏休みの期間にはさしま少年自然の家で3日間合宿をするので、その時は道路を走って本番の感覚をつかんでいます。今年の意気込みは「限界まで走る!」

第76回東葛駅伝、5区を走りタスキを渡した床井さん

 

森 晴喜さん(3年・野球部)

 昨年は9区を走りました。沿道からすごい応援があったので最後まで走れました。すごくいろいろな人に応援されて、その温かさを感じました。 また今年も駅伝に出られたら楽しく走れればいいかなと思います。

第76回東葛駅伝、9区を走る森晴喜さん


 顧問の實方和也先生(31)は、関宿中駅伝部を率いて3年目。自身も野田一中時代に東葛駅伝を走った経験者だ。

 「1区を走ったんですが、転んでしまったんです。起き上がって顔を上げた時には、集団がはるか前に行ってしまっていた。実力のあるチームで、自分も自信があったので一桁台でタスキを渡したかったのに、30番になってしまいました。今でも忘れられない思い出です」

 教師になり、駅伝部の顧問になった今の想いを聞いた。

 「関宿中は代々出場してきたこともあり、つなげてきた先輩方への想いがあります。しかし、小規模校なので他の学校のようにはいかない。私ができることは、その時その子が持っている能力を伸ばすことと、走るのを嫌いにさせないこと、そしてできるかぎりの結果と達成感を与えてあげたい。結果も大事ですが、これまでやってきたことに胸を張れるように」

 上位校が注目されがちだが、どの学校にも様々なドラマがある。

 「東葛駅伝がなかったら教員を目指していなかったかもしれません」と話す實方先生と、子どもたちの天真爛漫な姿が印象的だ。

(取材=松原・大澤)

 

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