京葉道路へと続く習志野市実籾の靴修理店「高橋シューズ」。店主の高橋芊(シゲル)(83)さんは、この道約70年のベテラン職人だ。
多古町で生まれ育った高橋さんが靴職人の道を歩み始めたのは、中学卒業後のこと。叔母の紹介で上京し、東京千住の靴店に修業に入った。年季奉公として、靴作りの基礎を4年間かけて徹底的に習得。独立への志を抱きながら技術を磨いた。
転機となったのは、店の主に見込まれ養子となったことだ。国鉄関係者からの注文靴やオーダーメイドといった、より専門性の高い技術を習得。その後、店の移転に伴い佐倉市へ。結婚を機に習志野市へと居を移した。
その後、独立資金を貯めるため、都内の大手靴メーカーに20年間勤務。技術をさらに向上させながら、着実に開業の準備を進めた。そして48歳の時、ついに念願の「高橋シューズ」を開業。当初は、下請けとして主に一流ブランド靴の修理を手掛け、確かな技術で顧客の信頼を得た。銀座の老舗靴店からの依頼は今も続いている。
バブル期には修理需要も高まったが、時代とともに依頼は減少。高橋さんは、地域住民のニーズに応えようと、オーダーメイドや修理に力を入れている。口コミで評判が広がり、遠方からの依頼も増加。他店で断られた特殊な靴の修理にも積極的に対応し、顧客からの信頼を得ている。足の不自由な人向けの靴や、複雑な構造で、英国の伝統的な手縫いのグッドイヤーウェルト製法の靴なども、長年の経験と技術で蘇らせている。
高い技術と温かな人柄で、高橋さんの元には今日も大切な靴の修理を求める人が訪れる。靴のオーダー、カバンや傘の修理もOK。営業は8時30分~19時。月曜定休。
▼問☏047・475・8830。習志野市実籾3−5−7「高橋シューズ」。
