朝、昼、夕、夜…4つの顔を探してみよう!

 夏の代表花のひとつであるアサガオ(朝顔)。実はそれ以外にも、ヒルガオ(昼顔)、ユウガオ(夕顔)、ヨルガオ(夜顔)とひと揃え存在し、いずれも夏の間に花を見ることができます。そこで今回、これら4つの顔を紹介します。なお、この4つのうちユウガオのみウリ科で、あとはヒルガオ科に分類されます。

ヒルガオ

 アサガオは早朝に美しい花を咲かせ、遅くとも午前中のうちにはしぼんでしまいます。開花時刻はアサガオ自身が持つ体内時計のはたらきで、暗くなってから約10時間後と決まっていて、自然状態ではだいたい夜明け前から明け方頃にあたります。

 ちなみにアサガオは日本在来ではなく、今から1200年くらい前の奈良時代に中国を経由して渡来した外来種です。その原産地には諸説あるものの、現在は中南米が起源であろうと言われています。当初は薬草扱いで、花を愛でるようになったのはしばらく後の話です。そして花色が豊かになったのは江戸時代以降で、それ以前は青色のみでした。

 山上憶良が万葉集に詠んだ秋の草のひとつに、朝貌(あさがお)があります。これには諸説ありますが、今で言うところのアサガオではなく、キキョウだろうという説が有力です。

 ヒルガオは身近な場所でよく見かける日本の野草です。それ故に雑草的な扱いをされがちですが、次々と咲かせるピンクの花は可憐で見応えがあります。同じ仲間のコヒルガオも同様によく見かけます。

コヒルガオ

ヒルガオとコヒルガオはよく似ているものの、葉の形や花柄の様子などにちがいがあります。


 ユウガオは夕方から夜にかけて白い花を咲かせるウリ科の植物です。花後にできる実の形のちがいから、大きくユウガオ(ナガユウガオ)、フクベ(マルユウガオ)、ヒョウタンの3つに分けられます。フクベの実の皮を剥いで乾燥させたものが「かんぴょう」です。

ユウガオ(ナガユウガオ)


 ヨルガオは夏の後半から秋にかけ、夜間にアサガオに似た白い大きな花を咲かせます。種子や苗が普通に販売されているので、自分で育てて咲かせてみるのも楽しいかもしれませんね。赤花夕顔または赤花夜顔の名前で売られているものは、ヨルガオと同じ仲間のハリアサガオという種類で、やはり夜間、赤紫色の小ぶりな花を咲かせます。

わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

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