
コスモスについていろいろと

秋を代表する草花のコスモス。やさしいピンクの花は、どこか桜を連想させるのでしょう。「秋桜」という漢字が充てられています。繊細で奥ゆかしく、秋風にやさしく揺れる様子は和の景色にぴったりで、一見日本の草花のようですが、じつはメキシコが原産地です。

コスモスの仲間はメキシコを中心としたアメリカ大陸に約30種あります。そのうち誰もが知るおなじみのものはCosmos bipinnatusと呼ばれる種類と、それをもとに人の手によって改良された園芸品種です。オオハルシャギク(大春車菊)という日本名もあります。
コスモスは短日植物で日が短くなると花芽ができます。だから秋に咲くのです。しかし品種改良によって、近年は日の長さに関係なく花芽がつくようになり、早いものでは5~6月頃から咲くことも珍しくありません。
品種改良によって花色や形のバリエーションもかなり豊富になってきています。代表的な花色はピンクですが、白色から濃い赤紫色まで、株によって花色の濃淡はさまざまです。




↑コスモスの園芸品種
また単色だけではなく、外側が濃い赤紫色で縁取られる「ピコティ」など複色系の品種も増えてきています。それから、薄い黄色の「イエローキャンパス」や、サーモンピンクの「オレンジキャンパス」など、変わった花色も続々登場しています。
花の形の変化としては、舌状花(花びらみたいに見える部分)が筒のようになった「シー・シェル」や、八重咲きの「ダブルクリック」などの品種があります。
コスモスの仲間ではキバナコスモスがよく栽培されます。やはりメキシコ原産で、コスモスに比べると葉の幅は広く、黄色やオレンジなどのいわゆるビタミンカラーと呼ばれる花を真夏の暑いうちから次々咲かせます。
ほかには、花の色、匂いともにチョコレートを連想させるチョコレートコスモス(ベニコスモス)という種類もときどき植えられるようになりました。それから食用として栽培される、その名もずばりヤサイコスモスというのもあります。ただ寒さに弱く育てにくいため、残念ながら東葛地区ではまず見かけません。

コスモスも深掘りすると雑学の宝庫です。ぜひ散歩がてらコスモスのこともいろいろ観察したり調べたりしてみてくださいね。
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール
気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。