新年度に入った4月。一時、ゆうびの登園人数が減ります。ここ数年続いている傾向です。なぜかというと進学・入学に伴い、学校へ通い出す子が増えるからです。学校が変わらない限り自分は学校に行かない、と決めている未くん(小3)は「最近、来る人が少ないな~」と退屈そうです。
そのことを知人に話したところ、「それはゆうびにとって喜ばしいことなの?それとも、憂うべきことなの?」と問われ、はたと考えました。結論から言うとどちらでもありません。本人たちが選んだ入学、進学はもちろんおめでたいことです。真新しい制服を着て見せに来てくれる子もいて、期待と不安の入り混じった本人たちの姿を見ると心から応援したくなります。ですが、私たちは、本人が学校に通えるようになったから喜んでいるわけではありません。本人が自分なりに選んだ道を一歩踏み出したことを喜ばしいと思っています。
ゆうびは学校に再登校できるようになることを目的としていません。もちろん、ゆうびで過ごした先にまた学校に通うという選択があってもいい。なくてもいい。大切なのは子ども自身が自分の人生を、個性を花開かせながらどう一歩一歩歩んでいくかです。
登園人数が減ることは寂しくはありますが、憂うべきことでもありません。学校であれなんであれ、本人がゆうび以外に居場所・活動場所を見つけられたのなら、憂うどころか喜ばしいことです。
しかし、大体ゴールデンウィークが過ぎるころ、またポツポツ登園人数が戻ってくるのも毎年の風物詩です。「行ってみたけどやっぱムリだった」と詩ちゃん(中1)。「行けるもんなら行きたいよ」とつぶやきます。彼女の、学校生活に対するあこがれ。自分への期待、そしてやっぱりだめだったという無念さなどが痛いほど伝わってきます。この言葉に改めて、子どもたちにとっての学校の存在の大きさを感じます。学校を怠慢で行っていない不登校生はいません。通いたいのに通えない理由は、子ども自身によるものでしょうか?私には学校の中にあるように思えてなりません。
大多数の道は踏み固められていて歩くのには安心です。
☎04・7146・3501 NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江