
10年かけて坐骨・尾骨サポーターを開発 おしりの幸せ

「おしりの幸せ」の開発者 川畑貴子さん 市川市
人にとって「座る」という日常の行為が、病気や体型の変化により、苦痛でしかないとしたら――。そんなお尻に悩みを持つ人に役立ちたいと、10年もの歳月と情熱を注ぎ、お尻用サポーターを開発した川畑貴子さん。
エステサロンを経営している時に、ガンなどの病によって痩せた身体に「痛み」を抱える顧客と出会い、自身も坐骨神経痛の辛さを経験した事から商品開発を思いつく。
当時の自分を「ミシンすら使えないのに、どうかしてますよね」と笑いながら振り返る。この思いを形にしたのは川畑さんの母親と、自宅にあった業務用ミシン。あらゆるガードルを買い集めて解体、研究、開発をスタート。思いつくアイデアを母に伝え、サンプル製作を重ねた。自宅には今も、当時の大量のガードルと試作品が残されている。
開発は試行錯誤の連続。素材選び、設計、構造の全てで壁にぶつかり、製造段階ではほとんどの工場から協力を断られた。知識不足を理由に相手にされないこともあったが、奇跡的に兵庫県の工場が協力に応じ、製品化が実現したという。
こうして誕生した「おしりの幸せ」は特許を取得、評判は口コミで広まった。当初はユーザー想定を50代前後の女性にしたが、男性や高齢者など、予想外の幅広い層から反響が寄せられた。万人にではないが、超潜在的なニーズが存在すること、そして実際に製品を使ってもらうことで「役に立っている」と実感する利用者の声が、現在の川畑さんの仕事の最大の原動力になっている。
「昔のお尻に戻ったよう」「履きはじめて、外出が楽しくなった」といった喜びの声が利用者から寄せられている。着脱式パッドや洗濯の容易さ、そして毎日身につけたくなるような快適な生地選びにもこだわる。誰かの痛みに寄り添い、座る喜びを取り戻すため、根気強い改良の結晶なのだ。
サイズ展開は「男性用」「女性用」「おなかラクちん」それぞれにS、M、L、LLの4種類。インターネットショップで1万9800円(税込)で購入出来る。
▽問☏047・303・3816(川畑さん)。
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