
赤井清美《書の力 第55回》

赤井清美(1937-2025)惜寸陰98.1×33.4㎝ 紙本墨書 1幅 成田山書道美術館蔵
一見すると筆先で、軽く穂先を生かして書いたようですが、決して紙面の上を滑ることなくしっかりと紙面を捉えた書き振りで、確かな技術が伝わってきます。中国紀元前の木簡、郭店楚簡(かくてんそかん)あたりの書体で書かれ、不思議な魅力に溢れています。
赤井清美氏は自らの書作の資料とするため、多くの古典を整理、分類することから発して行草大字典、篆隷大字典(てんれいだいじてん)といった文字を学ぶ人が必携の字書を一人で編集、発行しました。
様々な家業を営みながらの書作、編著活動はまさに一時を惜しんでの毎日だったに違いありません。赤井氏の人となりがよく表れています。(学芸員 山﨑)
※この作品は8月23日(土)から10月13日(月・祝)まで開催の「赤井清美の仕事と明清の書」展に出品いたします。台湾故宮の所蔵品調査で古今の名蹟をくまなく実見し、同時に書作についても大変精力的な活動を展開、書の故郷中国での大規模な展覧会では多くの魅力溢れる書画や篆刻を発表しました。
▽成田山書道美術館は月曜休館(月曜が休日の場合は翌平日)9時~16時(最終入館は15時30分)。入場料大人500円、高・大学生300円、中学生以下無料。
▽問☏0476・24・0774。
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