メンタルと腸の関係 

Q.私は緊張したりストレスを感じたりするとお腹をこわします。メンタルとお腹の調子は関係があるのでしょうか?(20代女性)

A.人体でメンタルに作用する臓器は、脳や自律神経だけだと思っていませんか?実は、腸もメンタルに作用する大切な臓器なのです。

 気分の安定、やる気に作用するのが、脳内で作られる幸せ物質(ホルモン)のセロトニン。これは脳だけでなく、腸でもつくられているのです。腸でつくられたセロトニンは、直接脳へ影響を及ぼすのでなく、自律神経に乗って脳へ運ばれます。


 腸は「第二の脳」といわれるように脳と腸は神経系を通じて密接な関係があり、腸の不調が、うつや自閉症などの病を引き起こすといわれています。


 脳と腸は互いに情報を伝達し、影響しあっている「脳腸相関」の関係。生物にとって脳だけではなく腸が大事だという例が、ミミズです。地球上に生物が誕生した時、生物には脳はなく最初に備わった器官は腸でした。ミミズが腸機能のみを持つことからも腸の重要な役割がわかると思います。

 「脳腸相関」のしくみで、脳でストレスを感じると腸へ信号が届き、セロトニンが過剰に分泌され、下痢などの不調をきたします。これが、「過敏性腸症候群」といわれるものです。


 逆に腸内環境が乱れると、その信号が脳へ届き気持ちがふさぐ、やる気が出ないなどのメンタル疾患を引き起こします。また、腸内環境の乱れは、認知症やパーキンソン病の原因にもつながるといわれています。
 そして、驚くことに全身の7割の免疫細胞は、腸に存在します。腸内細菌が免疫細胞を促したり、炎症の鎮静化を担っているのです。


 このような「脳腸相関」からもわかるように、ストレスに強くなるには、考え方や気持ちの持ちようを変える他に、腸内環境を整えることが大事です。バナナ、ゴボウ、大豆、オートミールなどの発酵性植
物繊維を多く含む食品や味噌、キムチ、ヨーグルト、オリゴ糖なども積極的に摂ることをおすすめします。食事に気をつけることは、こころの健康にもつながります。

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