
リレートーク20 関昌幸さん

対話を演出 ゆるやかなコミュニティをつくる 関 昌幸(せきまさゆき)さん 八千代市
京成「八千代台駅」を下車して徒歩1分、ビル1階のノスタルジックな細い通路の奥にサックスを吹いている影絵の看板が見える。ドアを開けると笑顔で迎えてくれるのが「JAZZBAR LEGACY(レガシ―)」代表の関昌幸さんだ。居心地のいい店内に、静かにジャズが流れている。「素晴らしい音響設備があるわけではないが、お客さん同志の会話がジャズセッションです」と語る。
店名「LEGACY」由来は「ジャズはずっと聴き継がれてきた音楽の遺産。もうひとつは自分の子どもたちに残せる親父の生きざま」と口調は明快だ。
中間管理職だった会社員時代、研修で「3年後の自分」というテーマが与えられた。その時、ジャズの演奏をやっているレストランを想い描いた。
2008年に退社。2009年5月に京葉線「千葉港駅」前に、レストランバー「クリッパー」を立ち上げた。食事をしながらライブ演奏を楽しめる大人のエンターテインメント空間だ。ミュージシャンとの交流も増え、クリッパーは順調にお客の支持を得て行った。
子どもたちが生まれ、家族が増えると、家庭の状況と仕事のカタチを考えるようになった。ライブハウス形態の店は半年先までスケジュールが入るため、働き方を変えざるを得なくなった。結果、小さな空間で自分のペースで進められるジャズバーを選択した。
2019年7月でクリッパーを現在のオーナーにバトンタッチ。同年10月に今の場所に「LEGACY」を開店させた。地域の人々が気軽に立ち寄れて、酒を酌み交わし、関さんとの会話を楽しめる空間だ。
「ジャズの即興演奏のように、その場で出会った人たちが楽器を演奏する代わりに会話を楽しむ。いろいろな人とのご縁が繋がり、お客さん同志が仲良くなっていく」と関さんはうれしそうだ。
すぐ近くに古書店もあるので、そこから同店に流れてきたりして、この6年間で、地域にゆるやかなコミュニティを形成しつつある。
聞き上手、話し上手の関さんはお客の話を引き出し、時にはうまく制する姿勢は演出家である。お客が制作したミュージシャンのパネルに囲まれ、照明を落とした店内で、今夜もトークというセッションが繰り広げられている。
●次回は岩井美知子(いわいみちこ)さんにバトンを渡します。
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