準備だけで終わらせない 災害に備えるBCP

ふれあいあごら

「災害で断水しても、食事の時間は来ます。排せつの介助も、薬も待ってくれません」。

先日、千葉豪雨で被災した高齢者施設の方から、そんな話を聞きました。「浸水でお湯が出ない。エアコンも止まる。自宅が浸水、車が使えなくなった職員もいた。それでも利用者の暮らしは一日も止められません」。力を尽くした職員さんには頭が下がります。

その上で、考えました。施設は福祉避難所として地域の人を受け入れる役割も持っていましたが、実際には施設の利用者と職員を守ることで手いっぱいだったそう。一つの施設が一度に担えることには限界があります。必要なのは、現場の頑張りに頼りきらず、平時から準備をしておくことです。

そのために必要なのがBCP(事業継続計画)です。「仕事を続けるための計画」。つまり企業や団体が緊急事態に遭ったとき、損害を最小限に抑えながら仕事を続け、早く元に戻すための計画書のことです。

施設でいえば、食事や入浴、排せつの介助、薬やたんの吸引といった止められないケアをどう続けるか。止まったらどれだけ早く戻すか。それを前もって決めておきます。

避難計画が「どう逃げるか」を決めるものなら、BCPは「逃げたあと、その人の暮らしをどう支え続けるか」を決めるもの。国も、介護や医療の現場に、作って終わりにせず訓練と見直しを重ねるよう求めています。

職員は何人集まれるのか。停電と断水が続いたら、何を先にやるのか。電話もインターネットも使えないとき、誰がどう連絡を取るのか。外から応援が来るまで、何日持ちこたえられるのか。計画書を作っただけでは答えは出ません。動いてみて初めて気づくことがあります。重要なのは「平時から顔の見える関係を」という言葉。

行政、医療、介護、福祉、そして地域。それぞれが計画を持つだけでなく、普段からつながっておく。あの日の踏ん張りを、次は一つの施設だけに背負わせないための備えです。BCPは、一冊を仕上げることがゴールではありません。自分たちはどう動けるのか。豪雨を経験した今だからこそ、そこから考え直せるのではないでしょうか。

(八千代市・M)

この記事を書いたライター

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