DRリポート261

脂肪肝もいびきもダイエットで治そう!問題はやせる方法

日本大学松戸歯学部付属病院 内科学教授 中山壽之先生

昨日は桃の節句。春の日差しがぽかぽかと背中を押してくる。どこからともなく、ヴィヴァルディの「春」が聞こえてくるような、そんな昼下がりでございます。縁側には、いつもの顔ぶれ。

八っつあん: 実は困ったことになっちまってね。赤ひげ先生のところで検査したら、肝臓に腫瘍があるって言われちまってさ。「食って飲んでばかりじゃ、いずれ癌になるよ」って、かかあに脅されていたのが正夢になっちまった。

熊さん: なんだい、とうとう来たか。脂肪肝に癌が生えちまったってわけかい?

ご隠居: まあ待て、熊。二人とも、ずいぶん勉強したようじゃが、”腫瘍がある”と”癌だ”は似ているようで大違いじゃ。肝臓の腫瘍には良性もあれば、悪性もある。前癌病変というのもある。慌てる前に、超音波、CT、MRIの三つは調べるのが筋じゃな。

八っつあん: へぇ・・・今は結果待ちでして。夜になると、目は閉じてるんですが、頭が眠っちゃくれません。
熊さん: でもよ、八っつあんはB型肝炎もC型肝炎もないんだろ?食いすぎが原因の脂肪肝だったはずだ。ってことは、痩せりゃあ、肝臓癌の心配も減るってことかい?

ご隠居: その通りじゃ。最近の研究じゃが、ダイエットで脂肪肝が改善すると癌の土台になる肝臓の線維化まで良くなる、という報告がある。

熊さん: へえ、そりゃ大したもんだ。太って脂肪肝が進めば癌になりやすいが、痩せて脂肪肝が良くなれば、癌にもなりにくくなるかもしれねえ、ってわけだ!


ご隠居: まさにその通りじゃ。ただしな、ダイエットてのは気合だけじゃどうにもならん。絶食は逆効果じゃ。炭水化物を半分に減らした、バランスのよい食事。そして食事のたびに水を飲む。これで消化吸収が安定し、無理のない減量につながると言われておる。地道な戦略が必要じゃ。

ご隠居 (続けて): 日本大学松戸病院の中山先生の外来では、2年がかりでダイエットに成功し、肝機能が見違えるほど良くなった患者さんが何人もいるそうじゃ。チームでの指導力が、たいしたものなんじゃろうな。おまけに、痩せたらいびきまで静かになったという話じゃ。

八っつあん・熊さん: へえ〜〜、そりゃありがてえ。

そこへ、「お前さん!」と、八っつあんのかみさんが息を切らして駆け込んでくる。

八っつあん: お、おい・・・検査の結果かい?
封を切って、じっと見る。・・・・・しばらく沈黙。

八っつあん: ・・・良性腫瘍、だそうで。
かみさん: よかったねえ、お前さん!

二人は、まるで“りくりゅう”のように抱き合って、声を上げて泣いています。

熊さん: これにこりて今日からダイエット始めなきゃ。やり方は、ご隠居と中山先生に頼るとするか。

ご隠居: 無理せず、欲張らず、続けることじゃ。一年で1kg痩せれば御の字と考えてな。

熊さん: だな。ご隠居と先生に、しっかり指南してもらうとするか。

春の風が、縁側をすっと通り抜けます。“春”は、聞こえてくるだけじゃない。どうやら、体の中にもそっと訪れるようでございます。
――おあとがよろしいようで。

日本大学松戸歯学部付属病院☏047・360・7111(コールセンター)☏047・368・6111(代表)

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