千葉県高校駅伝男子大会優勝 市立船橋高校インタビュー
2025年10月25日(土)第80回千葉県高等学校駅伝男子大会は、千葉県総合スポーツセンター東総運動場折り返しコース(7区間42.195km)で開催された。
1区、2区は八千代松陰の上杉敦史選手、伊藤悠ノ介選手が連続で区間賞。2区終了時は2位専大松戸と13秒、3位市立船橋と18秒差となった。3区は西武台千葉の山脇一徹選手が23分40秒の区間新記録で3位とタイム差なしの2位に浮上し、1位八千代松陰から2位西武台千葉、3位市立船橋まで2秒差に詰まった。4区は市立船橋の松尾航希選手が24分6秒の区間新記録で八千代松陰と西武台千葉を逆転し、1位で5区へつないだ。5区以降は市立船橋と八千代松陰の一騎打ちとなった。
市立船橋と八千代松陰は並走する場面があったが、市立船橋は中継時に1度も1位を譲らなかった。八千代松陰は5区から7区まで3区間連続で区間賞(6区松本大輝選手、7区上杉創亮選手は区間新記録)と意地を見せたが、最終的には同タイムの着差ありで市立船橋が2時間4分47秒で8年ぶりに優勝した。
優勝した市立船橋高校の選手と監督に話を聞いた。
1区 大竹 優之心さん(2年) 29分38秒 区間2位(大網市立大網中出身)

1区を走ることは1週間前に聞いた。1区はチームの流れをつくる区間で絶対に失敗は許されないと思い、緊張や重圧はあったが今日はそれらを押しのけられた。残り3kmで八千代松陰の上杉敦史選手が前に出て2人になり、残り2kmで再度、上杉選手が前に出て離された。目標タイムは30分前後で29分38秒を出せたのでタイムはよかったが、区間賞を取れなかったのは悔しい。1位以外の時は、10秒差以内で(2区に)つなぎたかった。1位と13秒差となり、この差が最後まで響かないかと責任を感じたが、後ろの区間に強い先輩や同期がいるので、勝てると思って走り終えた後は応援をした。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
古嵜英俊先生が以前に大網中の顧問だったことで中学時代から関わりがあり、古嵜先生に教わりたいと思った。
[全国高校駅伝の意気込み]
県大会で優勝できたことで全国高校駅伝まで約2ヶ月と調整期間を長く設けることができる。チーム目標の8位入賞を上回る3位以内に入り、欲を言えば1位になりたい。

2区 持田 泰宏さん(2年) 8分40秒 区間3位(松戸市立古ヶ崎中出身)

前が見える位置でタスキを受けて走りやすかった。タイムには満足している。前で受けても後ろで受けても突っ込みすぎないように意識して残り1kmを勝負するプランだった。2kmまでは予定通りだったが、残り1kmは上げきれなかったところが課題。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
中学時代の顧問の先生から勧めてもらったことと最大の目標にしていた吉村先輩がいた。今日は吉村先輩へタスキをつなげてうれしい。
[全国高校駅伝の意気込み]
3km区間を考えている。今回できなかった残り1kmの切り替えをこれから12月まで磨いていき、もっといいタイムで走りたい。

3区 吉村 莉一郎さん(3年) 24分26秒 区間2位(松戸市立古ヶ崎中出身)

4区に力がある松尾がいるので、先頭とのタイム差がカギになると思っていた。力は出し切れなかったが、1位との差を詰めたことで役割を果たせたと思っている。
全国高校総体1500mは悔しい結果となったが、経験したことを生かすためにも「全国高校総体での借りは全国高校駅伝でしか返せない。千葉県高校駅伝では絶対にいい走りをする」という思いを持ってここまでやってきた。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
中学時代の顧問の先生から市立船橋高校をいちばんに勧めてもらった。
[全国高校駅伝の意気込み]
今年度は県(高校駅伝)で1位になることよりも全国高校駅伝で勝負をするという目標で取り組んできた。入賞できるように仕上げていきたい。個人では3区で今日よりもいいタイムを出したい。

4区 松尾 航希さん(3年) 24分6秒 区間賞、区間新(船橋市立行田中出身)

前に八千代松陰と西武台千葉がいたので、付いていきラストは自分の方が力はあると思い、1位でタスキを渡すことを頭に入れていた。6kmくらいまで2人に引っ張ってもらい後ろに付いて、そこから仕掛けた。区間新には満足している。今持っている力は出し切れた。
全国高校総体5000mは力のなさを痛感した。どんなときでも走れる選手ではないことがわかり、その後はいつでもしっかり走れるようにすべての練習をこなしてきた。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
中学時代は野球部。高校でも野球部に入るつもりだったが、箱根駅伝で市立船橋高校出身の選手が走っているのを見て、近所の市立船橋高校で箱根駅伝を目指そうと思った。全国高校総体に出場できるほどタイムが伸たり、駅伝メンバーの主力になれるとは入学前は考えていなかったので嬉しい。
[全国高校駅伝の意気込み]
全国高校総体で悔しい思いをしたので、今度はしっかりと勝負をして少しでも前の順位で走れるように頑張りたい。

5区 小用 太陽さん(3年) 8分42秒 区間2位(木更津市立太田中出身)

8年ぶりの優勝がかかっていたので、1位で受けたタスキを1位でつなげるという気持ちで走りきれてよかった。松尾が絶対に1位で持ってくると信頼していた。1秒でも後ろとの差を開き、6区の古屋にタスキをつないで「優勝に一歩でも近づけるようにする」という思いを持っていた。力は出し切れたが、全国高校駅伝は今日以上の力を出し切れるように練習をして力をつけたい。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
(自宅から通える中で)全国高校駅伝を狙うには市立船橋高校がいちばん近かったのと中学時代に知り合った仲間や先輩もいたので、一緒にやっていきたい気持ちが強かった。
[全国高校駅伝の意気込み]
チームとして優勝を狙っていけるように区間上位で走りたい。

6区 古屋 颯太さん(2年) 14分32秒 区間2位、区間新(流山市立南部中出身)

5区までいい流れでつないできてくれたので、1位で7区につなぐことが使命だと思った。八千代松陰6区の松本大輝選手が格上なのはわかっていたが、メンバーに選ばれた以上は勝たないといけない重責があったので、自分のレースをするという気持ちで臨んだ。途中、何度か前に出られたが付いていき、残り400mで仕掛けて1位でつなげてよかった。ほぼタイム差がない位置でタスキを受けて緊張はしていたが、自分がいい走りをしないと勝てないと思った。3区から5区が「先輩のプライド」でいい走りをしてくださり、自分がうまく7区につなげたら勝てるという確信はあり、気持ちよく走るだけだと思った。市立船橋の関係者からの応援だけでなく他校の関係者からも「市船頑張れ!」という声援が力になり、「勝たなければ」という重圧をいい方向に持って行くことができた。今持てる100%の力は出し切れた。
今までのレースは苦しそうな表情をして、相手に「余裕がなさそうだな」と思われることを自覚していた。今日は(力を出し切れたくらいなので余裕はなかったが)、「自分は余裕だぞ」という気持ちを見せて相手を揺さぶることができたと思う。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
市船ブランドを背負って走りたかったのと駅伝でチームに貢献し、八千代松陰に勝って立場を変えたいという思いがあった。古嵜先生が熱心に声を掛けてくださり、「先生(の指導)についていけば強くなれる」と感じた。それを今日、実現できてよかった。
[全国高校駅伝の意気込み]
(千葉県高校駅伝は)長距離区間を望んで駅伝に臨んだが、力が及ばず5km区間となった。残り2ヶ月あるので、次こそは長距離区間を走れるようにチーム内での順位も意識をして、8位入賞を目指して全員で頑張っていきたい。

7区 新居田 朝信さん(2年) 14分43秒 区間2位、区間新(浦安市立日の出中出身)

調子がいい状態でレースに臨めた。どんな位置でタスキを受けても1位でゴールテープを切ることを意識していた。途中、何度か上杉創亮選手が仕掛けられたが、最後の勝負に持ち込まないと勝てないと思ったので、なんとか粘った。ずっと競り合いで重圧はものすごかったが、沿道からの声援、応援が大きく、勝つしかないと思った。持てる力は出し切れた。
[市立船橋高校へ進学した決め手]
千葉県は八千代松陰高校がずっと勝ってきたのと強豪復活へ向けて自分が流れを変えたいと思った。
[全国高校駅伝の意気込み]
個人では区間賞。チームでは8位入賞。残り2ヶ月さらに上げていきたい。

古嵜 英俊先生

自分たちの力を出し切れれば優勝に近づくと思い、各区間の選手たちがしっかりと力を出し切ってくれたら、と思いながら見ていた。夏くらいから1区は大竹を起用するイメージはしていたが、選手たちの力が拮抗していたので、いろいろと考えて複数のパターンで準備をしていた。1区が先頭と20秒以内で繋げたのは想定の範囲内。2区は3秒離されたが伊藤悠ノ介選手は全国高校総体3000mSC3位の実力者なので、持田は強い相手によく耐えてくれた。3区終了時に前に出たいイメージはあり、最低限先頭に追い付く、行ければ前に出るのが狙いだった。4区松尾には「(競り合う展開になったら)行けると思ったところから一気に行け」と伝えていたが、突き放せなかったのは宮川大樹選手も強かった。5区小用には「焦って入らない、後半勝負」と伝えていた。6区、7区は選手たちが自分で考えて走ったのかなと思う。7区(新居田)朝信には、「アンカー勝負になるかもしれない。そうなったら自信があるところで前に出ろ」と伝えたが、トラックまで競り合うとは思わなかった。自信を持って7区に(新居田)朝信を起用したが、相手は王者なので簡単には勝たせてもらえないだろうと思いながらも今までの練習の内容がよく、彼なら競り負けないと思った。
全国高校駅伝で連続入賞している八千代松陰高校に勝ったということは、それなりのチームとして見られるところはあると思う。自分たちの力を全国の舞台で発揮できるように頑張りたい。
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