旅スケッチ「行徳街道周辺」市川市
心地いい川風に吹かれ、民衆の思いをたどる

東西線妙典駅で下車。旧江戸川沿いの常夜灯を目指して歩き始めた。
史跡馬頭観音を見つけ、何気なく木札の説明を読み始めた。「江戸時代に広く信仰されていた。宝馬が四方を駆け巡り、猛進し、煩悩や死などの四魔を打ち破る精悍さを表すとされ、無明の諸障害を突破するとされている」とあり、人々の苦難への対処法として、馬の疾走に想いを込めたところが面白い。

住宅街を歩いていると、いつに間にか、暗渠(あんきょ)の上にいた。

正面には植物に覆われた空家。左に神社の境内も見えた。鳥居をくぐり、社殿に進み、彫り物を観察。龍と亀だ。龍の目がこちらを向いて光っている。

常夜灯公園に到着。紫陽花の横の小さな階段を上がると旧江戸川が目の前に流れていた。堤防には休憩所があり、「川の駅あずま屋」と記されている。

焼きそば、コロッケパン、ゆで卵を買う。梅雨の晴れ間、川風が心地いい。テーブルについて川の流れと行き交う船を眺めながら食事をとると、幸福感に満たされてくる。

ジョギングをする人や街探検グループが通る。焼きそばを買いに来た女性は「今日売れているね、あとひとつだ」と。ガラスケースにはアジフライなどもあり、こんな環境で食べたらうまそうなものばかり。

東屋(あずまや)を後にして常夜灯まで歩く。1812年、講中と呼ばれる信者らが航路の安全祈願のために常夜灯を建てた。2009年に常夜灯周辺は常夜灯公園として整備されたようだ。

釣り人が数人、糸を垂らしていたので、河岸に降りてみた。腹ばいになり裸で日光浴をしている若者がいたのには驚いた。

行徳駅へ向かって歩いたが、道に迷った。しばらくすると、「中台神輿」の看板のある建物の前に出た。「行徳神輿ミュージアム」だった。


日本の伝統文化である祭りや神輿についてもっと身近に感じてもらう場所として開設された。普段は見ることのできない神輿の内部や職人が使用する道具などを展示。近くで見る神輿の圧倒的な存在感に言葉を失った。
◆今回の散歩データ
3キロ、約2時間。
【たっちゃん】千葉県在住。ワインを愛し、テーマに沿って、アートとレコードを楽しむ会を主催する。古書探索と街歩き、料理作りが日課。
この記事を書いたライター
