歯周病を悪化させる病気、歯周病によって悪化する病気
DRリポート265

日本大学松戸歯学部歯周治療学講座教授 中山洋平先生
歯周病とは
歯周病は、正確には「慢性歯周炎」という診断名です。口腔内の歯垢中に存在する歯周病原菌は、生体との反応で歯肉の炎症を引き起こします。それを放置すると、徐々に歯を支える歯槽骨が減少し、最終的には歯を抜くことになります。
「慢性」とつく診断名の通り、症状が少ないのが特徴で、自覚症状をあまり感じていなかったのに、いつの間にか歯を支える骨が減ってしまう怖い病気です。「Silent Disease:静かなる病気」とも表現されます。
歯周病を悪化させる病気
歯周病の発症と進行は、基本的には歯周病原菌の質・量と生体(歯周組織)との反応で決まってきます。極端にいうと、ブラッシングが上手で、歯周病原菌を含む歯垢付着が少ない状態でも生体の応答が弱ければ、歯周病は進行します。つまり全身的に免疫機能が低下している病気は、歯周病の悪化に影響する可能性が高いと言えます。
歯周病によって悪化する病気
反対に、重度の歯周病を放置すると、全身への影響もあります。口腔内の歯周病原菌が産生した物質や菌そのものが、血液や消化管を通じて標的臓器に直接的に働く場合や、間接的に他臓器で産生された物質が標的臓器へ働く場合など、そのメカニズムは複雑です。そのため、研究段階の対象疾患が多いのが現状です。(図1)。

歯周病と相互に影響しあう糖尿病
歯周病と全身の病気がお互いに悪影響を与える疾患として、代表的なのが糖尿病です。歯周病患者の口腔内で産生された腫瘍壊死因子α(TNF-α)が、血中糖分の細胞内取り込みを阻害するため、血中糖分(血糖値)が増加します。
反対に、糖尿病患者は創傷治癒遅延、易感染性、炎症物質の増加傾向にあり、その症状が口腔内に影響します。そのため、相互的にそれぞれの病態を悪化させます(図2)。糖尿病患者の歯周病治療(歯周ポケット内の歯石除去・歯根面滑沢化)を行うと、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1Cが0.36%ほど減少するという報告もあります。

全身疾患の管理と歯周病治療の医科歯科連携
2型糖尿病をはじめとする非遺伝性の病気は、医科の治療や生活習慣の見直しで改善できるものもあります。その全身的リスクを軽減させるとともに、口腔清掃状態の改善し、歯周病治療を行う必要があります。これらの背景から、歯周病治療をより効果的にするには、医科歯科両面からのアプローチが必要であり、医科歯科の医療連携の充実が求められています。
■日本大学松戸歯学部付属病院☏047・360・7111(コールセンター)☏047・368・6111(代表)
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