彼は私たちに知らせたー長南開史

 8月26日、柏レイソルは天皇杯2回戦・専修大学戦を戦った。結果は2ー1でレイソルが勝利。FC今治が待つ3回戦へ進んだ。

 この試合で光ったのは17歳のMF長南開史。キャリア初のスタメン出場で1ゴール1アシストという活躍だった。この日、長南が記録していた「17歳4か月19日」というクラブ史上最年少公式戦出場記録を、その約1時間後には柏Uー18所属の16歳・五十嵐陵に更新されてしまう「おまけ」が付いたが、最年少ゴール記録を刻んでみせた。

「与えられた時間で結果を残せたことはうれしいですし、もしかしたら、『次に繋がる試合』にできたのかもしれないなと思います」

 試合後にはそう話し、笑顔を見せていたが、今後について話を向けると凛とした表情でこう話した。

「自分は『天皇杯限定の選手』になりたいわけではありませんし、『J1リーグでプレーしていく選手』になっていきたい。この天皇杯からJ1リーグのメンバーに食い込んでいける選手になりたいです」

 それから10日が経とうかという頃、「その後はいかがですか?」と再び長南にマイクを向けた。

「天皇杯の後、『チャンスをもらえるかな』と思っていましたけど、甘くはなかった。『簡単じゃないな…』と思っていましたが、今後いきなり起用されてもやれる自信が付きましたし、試合やスタジアムの雰囲気も掴めたことは大きいこと…次にチャンスがもらえば、やれる自信はあります」

 長南が手に入れた自信、その「成分」に興味があった。中学生3年生の頃に飛び級でUー18チームに合流して、主要大会にデビューした際は瞬く間に跳ね上がった選手だったが、トップチームでは今のところ同じようにはいっていない。

「アカデミー時代は身体能力でどうにかできましたけど、さすがにトップでは身体能力だけじゃ通用しなかった。だから、準備や駆け引きを意識していましたし、以前よりポジショニングが上達している感じはあります。自分に足りないことをトップチームのレベルで学ぶことが今に繋がっているのかなと思います」

 ただ、「うまくいっていない」というわけでもないのが長南を見守る上での楽しみではある。また、「2ゴールに絡んだ」というポジティヴな感触だけを持ち帰ったわけではないところがまた良かった。

 右サイドでは瀬川祐輔からお褒めの言葉をもらうほど良かったが、スタートポジションの左サイドでは課題を残した。

 曰く、あの日は「左では少し窮屈さを感じていました」とのことだったが、あれからしばらくが経ち、「判断が少しでも遅れると、このパスサッカーの流れも止まる。自分に余裕がないとボールを奪われてしまう」と表現するなど「感覚化」を済ませていた。いつの時代の選手にも「実戦経験」というのは何より大きな糧となるようだ。

「次は以前の自分よりは余裕を持った形であの舞台に立てると思います。そのために普段から小さなミスや消極的なミスを減らして、どんどんチャレンジをしていき、またゴールやアシストを取りにいきたいです」

 最後にそう話した長南。「なんだよ、急にかわいくなって」という意気込みだったが、次の機会が来たら何を見せてくれるのだろうか?あの日、彼はまだ何も知らなかった私たちに「長南開史」を知らせてくれた。そして、今、「自分を信じること」を知ったようだ。

 あの日に記録した「クラブ最年少〜」云々は実に素晴らしいこと、きっと、多くの方々が喜んだはずだ。だが、同時にそれらは今後に積み上げる「たくさんのこと」、その序章にあればいいこと。大学生相手ではなくプロを相手に何かを示すことを含め、すべきはたくさんある。

 ただ、最後にもう一つ。

 知る限り、「チャンス」はもらえない。掴むものだ。

この記事を書いたライター

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