少し早い「夏の宿題」
柏レイソルは京都との「明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドプレーオフ」を終えて、15位でこの変則的ハーフシーズンを終えた。
雪の舞う開幕戦からプレーオフまで実に様々な表情を見せた柏レイソルだった。振り返ってみれば、「ん?これは?」と思わせた試合もあれば、「いよいよお目覚めかな?」という試合、「この『勝点2』ってなんなんだ?」という試合も、「そうだ、これだよね!」というシーンや試合もあった。つまるところ、リーグ戦の中でレイソルが戦っていたのは関東近郊のクラブたちだけではなく、「昨年の自分たち」だったようにも思う。
そんな中でも、どんな試合も、ピッチで戦う選手たちや彼らを支える監督以下スタッフたちは「競技者」として競い続けるプロフェッショナルであり続けていたこと、大きな声で選手たちの躍動を促したサポーターたちの姿は何より素晴らしい限りだ。
しかし、彼らの様々な歩みを見守る側としては、「感情の起伏」と「その日その試合での現実」と「リーグ戦の設定と建て付け」とのバランス感覚を試されたシーズンでもあった。ただ、私はここで何か大きなものに斬り込むつもりはないし、そろそろ、屁理屈のストックも底を尽きそうなので、これ以上を語るつもりはもう無いが、「『競技』である以上は1つでも勝ち続けること」が何より重要だと学んだ。

「今季、このような経験をしたこともプラスに受け止めています。『サッカー』にも『人生』にも同じことが言えると思っています。それは『目の前に難しい時期や障壁があって、それにどう臨んで、どう乗り越えるのか』が我々を成長させてくれる。いろいろな障壁にぶち当たり、それをしっかりと『経験』として共有して、きっと良くなることを信じて、自分たちを信じて、さらに努力をして乗り越えるという。私たちが『日本のトップ』と『アジアのトップ』を目指す中ではこのような経験を持つかどうかは大きなものがあるし、そのためにはもっと強くならなくてはいけないし、その道のりというのは決して簡単なものではない。自分たちを信じて、高い集中力と高いモチベーションで戦い続け、またさらに努力を続けていかなくてはいけない。それができたのなら、我々はどんな相手にもどんなスタジアムでも勝つことができる。我々にはそれができることは昨年の戦いや今年に立ち塞がった障壁を乗り越えることで証明してきたと思います」
確かにそうだ、なんせ今夏からは「J1リーグ」と「ルヴァン杯」、「天皇杯」に加えて、「AFCアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)」での戦いに臨むことが決まっている。誰がどうのとかジンクスがどうだとか、冴えないことを冴えない顔で、いつまでもウジウジと呟いている暇はない。ちょうど良さそうな錆びかけた「フェーズ」を勝手に設定するのではなく、目の前にある「フェーズ」を感じて更新するべきだ。私たちが見ているサッカーは「これで完成だ」と言い切れるスタイルのサッカーではなく、ある程度の到達点を見たとて、誰もが「いや、もっと良くなる」と反省と修正、探求を続けるスタイルだと私は思っている。どこかが良くても、どこかがそうではないのなら、もっと良くしていこうと彼らは試みる。
その点においてもR・ロドリゲス監督の存在は心強い。まず、アジアの「頂」をへの道を見た経験を持つ人であること。勝ちたくてうずうずしてくれていること。指導者としての意地のようなものを感じた采配も多くあった。そして、このようなことを毎週口癖のように発信してくれることは信用に値する。こんなにほぼ毎週楽しみな定例会見は初めてだ。

「だからこそ、私は来シーズンへ向けて高いモチベーションや高い希望を持って臨みたいと思っています。『4つの大会』で上位を目指すことが可能だと思っていますし、『レイソルにまた新しいタイトルをもたらすことができるチームがここにある』と思っている。そのようなシーズンにしなくてはいけないと思っているよ。特に『J1リーグ』と『ACLE』優勝のタイトルが獲ることができたら、素晴らしいと思っている」
その言葉に強く相槌を打ちながら、「では、この夏の網走市でのプレシーズンはかなりのものになりますね?」と返すと、R・ロドリゲス監督はこう返した。
「プレシーズンよりも、『この夏のオフ』についてが最も重要になる。昨年、素晴らしいシーズンを過ごした後の今シーズンへ向けてのオフ、もしかしたら、我々は『適切な形』で過ごすことができていなかったかもしれない。そこにおいては私たちは反省をするべき部分があるのかもしれません」
R・ロドリゲス監督は体調不良やコンディション不良やプレー制限を抱えながらの開幕となった春、それを迎える前の時期に一度時計を戻してチームを顧みた。その反省を活かす時が来たということだ。
チームへ求めるのは、いわば「アスリートとしての健やかなる初夏の生活」といったところか。

「だから、『キャンプを含むプレシーズンが始まる7月がスタート』とするのではなく、今週の京都戦が終わったところから来シーズンがスタートするのだと思って欲しいと思います。もちろん、身体的にも精神的にもリフレッシュすることは大切。それと併せて、『休息』も『栄養補給』も『睡眠』も『トレーニング』も大切になる。プレシーズンに向けての『プレ・プレシーズンの過ごし方』や『行い』というものが重要になる。通常なら6週間程あったプレシーズンも4週間程度と短く、より良い準備をしなくてはスタートダッシュは望めない。そのためにはこの『6月』を彼らそれぞれがどのように過ごすのかは重要になってくるでしょう」
現体制となって、少し早いスパンで迎える2回目の「シーズンオフ」ー。
どんなリーグでもプロらしく振る舞っていた選手たちに、またプロとしてあるべき少し早い「夏の宿題」は提示された。この宿題には「最後にまとめてやります!」では許されない緊張感が込められていて実に興味深い。また、シーズンオフである以上、「チームに帰って来る者」も「新たに来る者」、「チームを去る者」もいるであろう。全ての選手・スタッフの健康を祈っているし、肉体的にも精神的にもリフレッシュして大いなるシーズンに備えて欲しい。

このチームの素晴らしさを考えると実に数多くある。
斬新な布陣。
ボールが持てること。
鋭いトランジション。
直向きで正直な性質。
3点差をひっくり返してしまうこと。
…と、実にたくさんあるのだが、彼らが持つ1番の素晴らしさは、「問題を修正をして、また強くなること」。今がまさにその時、その始まりなんじゃないかと思っている。
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